老親の生前贈与、いつから始めるべきか——相続税対策と「名義預金」のリスク
老親の資産を子どもに生前贈与することで相続税対策になると言われるが、始めるタイミングを誤ると「名義預金」とみなされるリスクも。基本の仕組みと注意点を解説。
「相続税対策」としての生前贈与が注目される理由
老親の資産状況を確認する中で、「相続税がかかりそうだから今のうちに贈与しておきたい」と考える家庭は少なくありません。生前贈与は年間110万円までの贈与であれば贈与税がかからない「暦年贈与」の仕組みを使うことで、相続財産を計画的に減らせる方法として知られています。ただし始めるタイミングや進め方を誤ると、かえって税務上のトラブルにつながることもあります。
生前贈与を始める前に確認すべきこと
- 老親の判断能力:認知症が進んでからの贈与は本人の意思確認ができず、贈与契約自体が無効とみなされるリスクがある
- 老親自身の生活資金:贈与を急ぐあまり老親の生活費・介護費用が不足しては本末転倒になる
- 相続時精算課税制度との使い分け:暦年贈与と相続時精算課税制度はどちらか一方を選ぶ必要があり、一度選択すると後から変更できない点に注意する
「名義預金」とみなされる典型的な失敗パターン
子ども名義の口座に親がお金を振り込んでいても、通帳・印鑑・キャッシュカードを親が管理し続けている場合、税務署から「名義預金」(実質的には親の財産)とみなされることがあります。この場合、贈与そのものが成立していないとして、相続発生時に相続財産に加算されてしまいます。名義預金と判定されないためには、贈与契約書を作成し、通帳・印鑑を受贈者本人が管理し、実際に受贈者が使える状態にしておくことが重要です。
贈与を始める適切なタイミング
- 老親の判断能力がしっかりしているうちに、意思を確認しながら進める
- 相続財産の見込み額を把握し、生前贈与でどこまで圧縮する必要があるかを試算してから始める
- 家族間で贈与の事実を共有し、後から「知らなかった」という相続トラブルを防ぐ
専門家に相談すべきケース
資産額が大きい場合や、複数の子ども・親族が関係する場合は、税理士やファイナンシャルプランナーに相談し、暦年贈与・相続時精算課税制度・生命保険の非課税枠などを組み合わせた最適なプランを設計してもらうことをおすすめします。
まとめ
生前贈与は有効な相続税対策になり得ますが、老親の判断能力があるうちに、正しい手続きで進めることが前提です。名義預金とみなされるリスクを避けるためにも、贈与契約書の作成や口座管理の実態づくりを丁寧に行いましょう。
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